恋愛の昭和史 (文春文庫 こ 41-1)



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恋愛の昭和史 (文春文庫 こ 41-1)
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健全な恋愛とは

小谷野さんのブログのファンで、実は毎日チェックしている。ブログはねちねちとした毒舌で満ちており、爽快感はないが、興味深く読めるテーマが多い。特に禁煙ファシズム反対運動についての議論は文章にも力が入っているし(「ねちねち感」も含む)、説得力がある。

本書は、昭和の文芸分野での恋愛描写の変遷を追い、日本人の恋愛感について扱った一冊。売春、婚前交渉、自由恋愛、精神的/肉体的恋愛、避妊の是非、などが主要テーマである。

おもしろかったのは、福永武彦らのキリスト教文化を持ち込んだ作家ら、さらには影響元であるジッドを鋭く批判した箇所。曰く、彼らキリスト教かぶれ作家が、むやみと「精神的恋愛」の価値を強調したために当時の日本の青少年・少女が無駄に苦しむ結果になったという。「武士は食わねど高楊枝」的態度が称揚される国では、日本人たるものはセックスしなくても精神的に満ち足りていればそれでよしとせよ、という態度が支持されやすかったのだろう。実際には男子の楊枝は、常に高くなったまま解決の捌け口をいつも探していたのではないかと想像する。不健全である。

雑誌に載せられる小谷野さんの写真や氏の陰湿で攻撃的な文章からは、失礼ながら健全で健康的なイメージは受けない。また、意図的にそのようなイメージを与えるように振舞っているようにも感じられる。しかし、実のところ氏は健全な社会の在り方(禁煙ファシズム反対論)や健全な男女のあり方について非常に意識的な、「健全論者」であるように思われるし、その内容には、建前ばかりの皮相的な議論に比べると示唆的な部分が多く含まれるように思う。
これで600円は安いと思います

2005年3月発行のものが文庫化されました。
その当時のもののレビューに概ね納得します。
例えば、膨大な資料に目を通した筆者の力量、そして巻末の年表といった付録。

個人的に楽しめたのは、私と同時代性が強い、昭和後期からのものでありました。「学歴と恋愛」、「歌謡曲の時代」、「自由恋愛の中の不自由」といった章が該当すると思われます。

「歌謡曲の時代」では、歌詞というテクスト?を使用しつつ、例えば、「男の片思い」を歌ったものは、この「歌謡曲の時代」まではほとんど見当たらないなどというあたりなどは、最近のJ-POPなどと照らし合わせれば異論もあるでしょうが、筆者の広範囲な調査に脱帽しました。

筆者の本は初めて読みましたが、『もてない男』の時代と筆者の考えが変わった箇所と変わっていない箇所も明瞭であるとおもいます。



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